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経済学史学会第69回大会2日目(2)

 経済学史学会大会2日目の午後1時から5時まで,大阪産業大学11号館3階の303教室にてフォーラム「経済学史は経済政策研究の役に立つのか」が行われた。参加者は報告者5名,討論者3名,司会者1名のほか,40〜45名ほど(ただし途中休憩後に若干減)。
 挑発的なタイトル(役に立つのか?)の割には,おとなしい報告が若干期待外れだったのか(笑),帰りの新幹線の時間が気になったのか……。
 しかし,盛り上がったのはやはり討論者のコメントとその後のリジョインダー,そしてフロアとのやり取りであった。

 個別の論点はさておいて(これについては録音もあるので,テープ起こしなど終わったあとに整理して詰めていく必要があるだろう),大きなテーマとしては“役に立つべき”経済学史研究の共通項といったものがあるのか? もしくは必要なのか? 共通項は形成しうるのか? 換言すれば,理論が淘汰されていって,ある「教科書的理論」に収斂されていくのか?といったようなところが,やはり問題になった。「専門知vs.世間知」(by 野口)といった二項対立のとらえ方に違和感を感じられる向きも,一元化されていく「専門知」といったイメージが先行していたかのように思われる。

 しかし,「危機の時代」に専門知内部での異なる理論の対立や葛藤が先鋭化していくことと,逆に世間知が「既得観念」に縛られつつ同一のパターンを顕在化させることは,何ら矛盾しない。「専門知vs.世間知」という二分法が,専門知内部での対立を見えにくくするという批判はあるにせよ,政策判断が世間知的な動向と無縁ではありえない以上,依然として上記の枠組みはまさに政策研究において“役に立つ”であろう。

 世間知も何らかの専門知による権威に規定されているのでは?というコメントもあったが,そうした専門知によって左右されるぐらいの世間知は,むしろ世間知といわないほうが誤解を招かなかったかもしれない。たとえば井上準之助の理論は旧来の理論の枠組みにとらわれているとは言えても,世間知そのものではなく,井上の理論が部分的に世間知と共鳴してあるイリュージョンを作り出していったのではないかというのが,昭和恐慌期のたとえばメディアの「熱狂」を説明するのではないだろうか。

 この問題を自分の今回の報告テーマに引きつけて言うならば,日本の19世紀末の場合,金本位制を採用した側と万国複本位制を唱えた田口らの見解は,いずれも「専門知」であるという見方も可能である。むしろ,金本位制採用後に生じたさまざまな問題を隠ぺいしつつ,金本位制こそがグローバル・スタンダードであるという世間知はいかに生み出されていったのかについて問われねばならないだろう。

 それについてはより一層の政策史的研究視角が,逆に学史研究を深みのあるようにしていくように思われる。「経済政策史研究は,学史研究の役に立つ」


※言うまでもないが,上記の感想はあくまで中村個人のものであり,パネリスト全体の意見ではないことを付記しておく。

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既にレジュメを紹介させていただいておりましたが、先週末に開催された標記大会について、昨日に続いて中村先生のblogから。 「経済学史学会第69回大会2日目(1)」 「経済学史学会第69回大会2日目(2)」 (参考)報告集 素人としても少しは口を出せそうな(2)についてwebmasterが思ったのは、もう少し「専門知」というものの敷居を低くした考え方があるのではないか、ということです。例えば中村先生のまとめによりますと�... [Read More]

Tracked on June 01, 2005 at 04:21 AM

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