桜井慶二「武藤日銀誕生す−「財務省支配」復活が意味するもの」
本日発売の『月刊現代』9月号所収の「内幕ドキュメント」第2弾。第1弾は未読だが,今回の記事は去る5月20日の量的緩和政策の手直し後,「権力委譲」(福井総裁→武藤副総裁)ともいえる「静かな地殻変動が着実に進行している」というもの。
この決定(なお書き修正)に至るまでに,審議委員の福間年勝や水野温氏らタカ派(*量的緩和からの脱出を急ぐグループ)は下限の引き下げを狙って,動いていた。福井も日銀内では「隠れ超タカ派」と知られており,なお書きでの決着は,明らかにタカ派の敗北だった。ただし実際の採決では,福井は敗北を見越してか,タカ派の引き下げ提案に反対している。(169ページ)
その後,ハト派路線(*量的緩和維持派)を明確にした武藤副総裁は,タカ派の主張する当座預金残高目標引き下げ論を一蹴し,「勝利宣言」とも取れる記者会見をおこない(6月23日大分県での講演),さらに「福井子飼い」の稲葉延雄理事が大阪支店に異動になるという人事が発令(*稲葉氏は白川方明理事の跡を継いで企画担当理事に就くと見られていた)されるなど,軒並み福井側近の異動がおこなわれた。
……日銀内部での福井総裁の立場がどのようなものなのか,本当のところはよくわからないが,もし,この記事が言うように,総裁が「隠れ超タカ派」で「福井早期退任論」もあるとすれば,ハト派でインフレ目標政策導入に熱心な武藤総裁は歓迎だ。
記事は,武藤日銀総裁が誕生すれば,逆に財務省がOBの武藤総裁に一々文句をつけるような事態にはならずに,かえって「日銀の独立性」は高まるだろうと予想する。
デフレ脱却のための「金融政策」が本来の金融政策ではなく,金利政策のみが日銀の正しい金融政策というのは,どう考えてもおかしな議論。日銀内部でしか通用しないこのような議論に決着をつけるのは,やはり「外部」ということか。
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